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めっき

下記の各めっきの説明は、「06版電気めっきガイド」からの引用です。
参考資料として参照ください。


銀メッキ

銀メッキ(パール仕上げ)
銀メッキ(パール仕上げ)

 銀のもつ独特の色調は古来より尊ばれ、金と並んで装飾品全般に活用されてきた。現代でも装身具、食器、バッヂ、トロフィー、メダル、楽器などに光沢銀めっきが利用されている。フルートなどの金管楽器に銀めっきを施すと音色がよくなることや、洋食器に銀めっきすることで水分の中の微生物や細菌が殺菌され、衛生上きわめて好ましいことなど、銀めっきの目に見えない利点は案外、一般の消費者にはあまり知れていない。
 ただ、銀めっきの最大の弱点は大気中の硫化物によって褐色〜黒色に変色することである。そのため、より効果的な変色防止処理が研究され、実用化されているが、もっとも効果的な方法は銀めっき上にきわめて薄い(フラッシュ)ロジウムめっきを施すことである。もっともロジウムは大変高価な金属であるから、付加価値の高い製品にしかお奨めできない。
 一時的な変色防止法として広く活用されている方法には、クロメート処理(浸清または電解)やクリア塗装がある。実際問題として銀めっきの美観を長く保つ方法は、まめな手入れということになろう。
 この硫化変色を逆に利用して、銀めっきを硫化物処理した銀古美やいぶし銀は、渋みのある、落ち着いた色調として装飾品などに広く利用されている。
 銀めっきは金めっき同様、電子工業には欠かすことのできないめっき技術である。金ほど高価格でなく、電気伝導性は金属中で最良という優れた物性から、きわめて広範囲な分野で利用されている。
 銀めっきは、

  • コネクタ、端子、スイッチ類などへの光沢めっき(Hv1OO〜150の硬質銀)
  • トランジスタステムやICリードフレームへの高純度無光沢(又は半光沢)めっき(軟質銀)
という二通りの使われ方がなされている。後者の場合は金めっきの代替えという意味合いが強く、それだけに厳しい特性が要求される。
銀めっきの工業利用、使用目的の一例を下表に示した。

●銀めっきの工業利用、使用目的
利用分野 適応部分 使用目的
重電
断道図(40〜80μm)、遮断器の気中開閉器 やカットアウト類など可動電極部(15〜25μm)、碍子端子、変圧器端子、分電盤・配電盤のブスバー(1〜10μm)、遮断器の接触 部(1〜10μm)、溶接機アーク部、フラッシュバット電極など。 電気伝導性
低接触抵抗
ハンダ付け性
弱電
各種スイッチ、接点、端子、コネクター(5 〜10μm)、リードフレーム、ステム。 電気伝導性
ハンダ付け性
低接触抵抗
航空機
軸受、かん合部分、高温環境でのボルト、ナットなどに非常に多く利用される。 潤滑性
焼き付き防止(耐 熱性)
マイクロ波回線
導波管(ミリ波帯域) 平滑性
高周波特性

 銀めっきにも金めっきと同様、膜厚と種類に関するJIS規格があり、また硬さや密着性、耐食性、ハンダ濡れの規定は金めっきと同じである。
 なお、銀めっきは非常に硫化変色を起こしやすいため、めっき後に変色防止処理が施されているが、電気接点関係では、クロメート処理による変色防止よりも、オイルコーティング(白色ワセリン系)による変色防止の方が銀の特性を損なわない場合もある。また、他のめっきにはない粘りや潤滑性を利用した固体潤滑皮膜としての用途(軸受けなど)もある。

(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)

銅メッキ

 工業用、すなわち機能を目的とした銅めっきは、産業分野においてきわめ て重要な役割を担っている。その代表的な事例が多層プリント回路基板に不可欠のスルホールめっきである。銅ス ルホールめっきの技術がなければ、多くのマイクロデバイスやセラミック部品、電子部品は宝の持ち腐れとなり、 今日のデジタル社会は誕生していなかったはずである。
 工業用銅めっきはめっき浴の種類によって、下表のように分類される。それぞれのめっき浴によって析出する皮膜物性は異なるから、使用目的に応じて的確な皮膜物性の得られるめっき浴を選定することが大切である。
 各めっき浴からの析出皮膜の物性面での相違を、スルホールめっきを例にとって説明しよう。
 銅スルホールめっき基板銅スルホールめっき(配線パターンはさらにハンダめっきが、端子部には金めっきがそれぞれ施されている)

●銅めっきの工業利用、使用目的

銅めっき浴の種類 析出皮膜の特性 主な利用分野


硫酸銅浴 光沢、平滑性に優れる。
皮膜は柔かく、添加剤の改良が一段と進んだため良好な物性が得られるようになった。
スルホールめっき
電鋳
印刷機ロール
浸炭防止
プラスチックめっき下地用
ホウ弗化銅浴 高速度めっきが可能。
皮膜の伸び率は最小。
電鋳
印刷機ロール




シアン北満浴 鉄、亜鉛ダイカストに直接めっき可能。
光沢めっきは外観、平滑性良好。
ストライクめっき用
下地めっき用(防錆)
無光沢めっきは浸炭防止や工業用厚付け
ピロリン酸銅浴 均一電着性に優れ、皮膜の結晶構造は緻密。
抗張力や伸びが最も良好。高周波電流の伝送損失も最も小さい。
導波管
スルホールめっき
電鋳
無電解銅浴 不導体へのめっき可能。
形状の如何を問わず、均一な厚さが得られる。膜厚管理が容易。
スルホールめっき
プラスチックめっき下地用

●スルホールめっきにおける銅めっきの皮膜物性
銅スルホールめっき
銅スルホールめっき
 多層プリント回路基板に各種のIC、LSIが搭載されることによって、高密度電子回路実装が実現されているが、そのためには実装電子部品や半導体部品から発生する多量の熱により膨張する基板の影響を受けにくい銅めっき回路が不可欠である。 
 つまり回路基板の熱膨張係数は銅めっきのそれより一桁大きいため、多量の発生熟によって銅めっき層のクラックや剥離、断線という重大なトラブルが生じ得る。これらのトラブルを回避するために、電気抵抗が極力小さく、伸び率の良好な、しかも基板の膨張を抑制する力(抗張力)の大きな銅めっき層が必要となる。 
 スルホールめっきにおける銅めっき層に要求されることは、
 (1)高アスペクト比であること。
 (2)均一密着性が良好なこと。
 (3)めっき層の伸び率と抗張力が良好なこと。
 (4)保存性が良好なこと。(ハンダめっきを施さない場合)
 (5)耐擦傷性が良好なこと。
などである。
 電気伝導性に関しては申すまでもなく、また接触抵抗値の小さなことも重要なポイントとなる。
 銅めっきは他に、熱伝導性が極めて良好(銀の93%)であるという特性を有している。その特性を生かし、ステンレス製鍋やフライパンなどの底部(加熱部)に銅の厚付けめっきを施して、熱伝導率の著しく劣るステンレス(銀の4%)の温度分布を改善している事例もある。
 またデジタル機器のプラスチック筐体では、電子回路で発生する高周波ノイズを吸収・遮蔽する電磁波シールド性能を付与するために、1〜2μmの無電解銅めっきが広く利用されている。この場合、銅めっきの変色を防止するためにさらに無電解ニッケルめっきを0.1〜0.2μm施している。
 デジタル機器(携帯電話)では他に、銅めっきの柔軟性を利用した事例もある。近年、ガラスやカーボンを複合させたPC/ABS樹脂やPC/ASA樹脂が内蔵シャシー(LCDホルダー)に採用されているが、素材が脆くなるという欠点がある。その場合、電磁波シールド性を付与すると同時に素材の脆さをカバーするために、柔軟な硫酸銅めっきを下地めっきとして施している。また、さらにニッケルめっきを行なうことで、樹脂の強度不足を補完している事例もある。
(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)

錫メッキ(半光沢、光沢)

 錫は古くからよく知られている馴染み深い金属材料の一つである。鉄板上の溶融錫めっきはブリキの名称で知られている。鉛との合金は“はんだ”として金属の接合に不可欠の材料であり、古くから利用されてきた。
 錫は融点が231.9℃と低く、比較的柔らかい金属で延展性に富み、有機酸にはほとんど溶けない性質をもっていて、それらの特性を活かした形で古くから盛んに利用されてきたのである。
 めっきとしての利用法も、析出皮膜のこうした性質を利用しており、下表のように大別される。

特   性
適 用 分 野
有機酸に対する安定性を生かした分野 食器具類
温水器ヒ一夕ー
柔軟性,潤滑性を生かした分野 各種機械の軸受部品
摺動部品
鉄鋼の窒化防止
ハンダ付け性,電気的特性を生かした分野 電子部品
半導体部品
機構部品

 特に近年、エレクトロニクスの急速な進展に伴い、電子部品への利用が活発化し、めっき浴の改良もあって、金属基体のみならずセラミックス基体ヤプラスチックス基体にも広く利用されている。反面、電子部品への利用においては、めっき膜に発生するヒゲ状の単結晶であるウイスカーの危険性があるため、さまざまな抑制策が検討あるいは実用化されている。
 またEUのRoHS指令により、EUにおいて2006年7月1日からPbの使用が禁止されることを受け、従来のSn−Pbはんだめっきに代わるPbフリーはんだめっきとして、特にチップ部品やコネクタ部品では 錫めっきが再び見直され始めている。

●錫めっきの物性
(1) 硬度
  皮膜硬度は添加剤やめっき条件によって変化するが、一つの目安を下表に示した。
めっき種類
硬度(Hv)
光沢錫(強酸浴) 40〜60
無光沢錫(強酸浴) 5〜8
無光沢錫 (アルカリ浴) 3〜4
半光沢錫(中性浴) 10〜15
光沢錫(中性浴) 30〜50

(2) はんだ付け性
   JIS規格に基づくはんだ濡れ性の試験結果では、無光沢錫より光沢錫の方が濡れ性は良好で、めっき直後では後者は90〜95%(最良)、150℃、16時間後でも70〜80%(良)となっている。
(3) 耐食性
   フェロキシル試験によるピンホール数の測定結果では、無光沢錫より光沢錫の方が耐食性が良好で、膜厚が5m以上の光沢錫ではピンホールがほとんど見当たらない。

●錫めっきでの留意点
(1) 変色防止
   錫めっきでも、中性浴からの半光沢めっき、光沢めっきは特に後処理としての変色防止を行なわなくても変色しないが、酸性浴やアルカリ浴からのめっきは、第三リン酸ソーダ溶液に受漬して変色防止処理を行う必要がある。
(2) ウイスカー
   錫めっきを電子部品や半導体部品に利用する場合、めっき後、時間経過とともに皮膜中の応力(圧縮応力)が駆動力となって、錫の単結晶がヒゲ状に成長することがあり、これをウイスカーと呼んでいる。
 ショートなどのトラブルの原因となるため、それらの部品への適用に際しては、ウイスカー発生を抑制する対策を講じる必要がある。

 ※具体的なウイスカー防止対策
  イ)下地にニッケルめっき(0.2μm以上)を施す。
  ロ)めっき後に加熱処理(リフロー;150℃、1時間)を行なう。
  ハ)めっき後に酸化防止処理(200℃、1時間加熱)を行なう。
  ニ)無光沢めっき、結晶粒度は大きなもの。
  ホ)めっき前の加熱処理による素材の応力横和。

(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)

光沢ニッケルメッキ

 ニッケルめっきの工業利用を分類すると別表のようになる。
 ワット浴からの半光沢ニッケルめっき、または無光沢ニッケルめっきは、さまざまな工業用めっきの下地めっきとして、最も広範囲に利用されているといえよう。
 例えばコネクタやスイッチ、端子など、金めっきや錫めっき、ロジウムめっきなどが施される電子部品では例外なく、下地に7μm程度のニッケルめっきが施されていて、素地との密着性を高めたり、耐食性を付与したりしている。半導体リードフレームの場合でも同様である。
 とくにステンレスやコバールなどの特殊鋼へのめっきでは、下地に0.1〜0.3μm程度のニッケルストライクめっきを行なうと、密着力は格段に向上し、サーマルショック試験(−60℃〜+150℃の繰り返し試験)でもビクともしない事例も報告されている。
 また光沢剤をまったく使用しない無光沢(純)ニッケルめっきは高純度で延性に富む皮膜が得られ、はんだ付け性も良好である。

●エ業利用の形態
めっき浴の種類 工業用利用の形態




ワット浴 素地との密着性を向上させ、また耐食性を付与するなど、 各種工業用めっきの下地めっきとしての役割。(0.1μm程度のストライクめっきから20〜30μmの中間めっきまで)
半導体部品のステムやキャップなどに、ろう付け性、溶接性、ボンディング性を付与するめっきとしての役割。
スルファミン酸浴 一般に超厚付けめっきとして再生部品の肉盛り用に利用されている。また電鋳浴としても、レコードスタンパー や各種成型用金型、金属ベローズなどの製作には不可欠の役割を果たしている。
無電解めっき浴
ニッケルーリン、ニッケルーボロンなどの合金めっきが得られる。複雑な形状にも均一な膜厚でめっきできるため、精度を要求される部品に多用される。硬度も高く、耐食性にもすぐれている。電気的特性も良好である。





分散ニッケルめっき 複合めっきとも称される。ニッケル皮膜中に、セラミックスなどの微細粒子を分散させためっきで、耐摩耗性の向上、潤滑性の向上、カラー化などが実現できる。

●各種ニッケルめっきの性能比較
性能\外観・浴の種類 無光沢 半光沢
ワット浴
半光沢
ワット浴
ワット浴 スミルファン
酸浴
硬度(Hv) 150〜180 170〜180 200〜400 500〜600
延性(%) 20〜30 5〜6 〜10 〜5
応力(Kg/mm2 12〜20 5〜6 100〜110 100〜110
引っぱり強度
(Kg/mm2
〜50 〜50 100〜110 100〜110
ハンダ付け性
(相対評価

(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)

亜鉛めっき

亜鉛めっき
 代表的な防錆めっき法として広範囲な分野で活用されている。鉄の防食にきわめて効果的であることに加え、めっき浴及びクロメート処理の進歩によって外観性能も向上し、装飾的用途での評価も高まっている。
 めっき浴には青化浴、ジンケート浴、酸性浴が実用化されていて、素材の性質や形状、仕上り外観等を考慮して最適な浴が選定されているが、耐食性は、めっきの膜厚や後処理法によって大きな差異を生ずるから、使用目的や環境に合った適確なめっき仕様を指示することが肝要である。一般に亜鉛めっきは、めっきしたままの状態では比較的変色、腐食しやすいため、有色クロメート、光沢クロメート、緑色クロメート、黒色クロメートの各クロメート処理を行なったものが利用されている。
 亜鉛めっき後、特殊な染料溶液に浸漬して種々な色調(12色)に着色する方法も実用化されているが、その場合着色乾燥後にクリアラッカー仕上げを行なうのが普通である。
 亜鉛めっきの特長を列挙すると、次の通りである。
  1. 中性の環境では不動態領域が存在し耐食性が良好で、pH8〜12の領域における腐食がとくに少なく大気中の腐食速度は鉄の約1/100ときわめて遅い。
  2. 鉄に対する犠牲的防食作用が強いために、めっき面にキズがつき鉄面が一部露出しても防錆する。
  3. 後処理としてのクロメート皮膜が亜鉛の白さび発生を長期間防ぐため、1〜2との相乗効果により、他の防錆処理に比べ、その防錆効果は遥かに優れたものとなる。
  4. 他のめっき加工に比べ、極めて低価格でめっきできる。
  5. 塗装等にみられる、ネジ、切削面などのマスキング作業が不要。
  6. めっき後の二次加工性に優れている。
 ただ留意すべきことは、工業汚染の比較的少ない田園地帯、住宅地帯、海浜地帯に関してその防錆力の優劣性が発揮できるという点である。汚染の甚だしい工業地帯においては、とくに5〜10月の高湿度時期ほど、亜鉛めっきの腐食は進行しやすくなるため、際立って汚染の甚だしい工業地帯で使用される亜鉛めっきの場合は、膜厚をより厚くするか、有色クロメート処理あるいは緑色クロメート処理を必ず行なうことが肝要である。

(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)

亜鉛三価クロメート

 環境負荷の大きい六価クロムを含まない被膜である。六価クロメート被膜の代替技術である。
亜鉛メッキ後に耐蝕性を付加するために、三価クロムの被膜をつける。

補足 クロメートはクロムと全く違う。(クロムはクロームと伸ばさない!)
一般に三価クロメートとは
 亜鉛メッキ後、クロメート(三価クロム化成被膜)を付加したもの。
 亜鉛クロメート(亜鉛六価クロメート)の代替技術
 亜鉛メッキ+三価クロメート処理=亜鉛三価クロメート(三価クロメート)

一方、三価クロムとは
 従来のクロムメッキ(六価クロムメッキ)の代替技術

クロムメッキ

クロムメッキ

 装飾クロムめっきと総称されるめっきで、金属素材、プラスチック素材を問わず装飾めっきの主流をなしている。
 素地加工や下地めっきの種類によって、単なる光沢外観のみならず、梨地、ヘアライン、スピン、ダイヤカット、サテン(半光沢梨地)、ベロア、パール等、多彩な外観が容易に付与されるため、クロムめっきのもつ重厚な金属質感、清潔感、精緻さと相まって、あらゆる分野で広く利用されている。
 装飾クロムめっきは一般に、銅―ニッケル―クロムめっきと表現されることが多く、下地めっきとして、銅あるいはニッケル(半光沢、光沢等)が行なわれているのが普通である。素材によっては銅めっきが省略される場合もある。
 クロムめっきでは装飾性と共に耐食性も大切な要素であるが、より高耐食性が要求される自動車部品等では、ダブルニッケルやトリニッケルを中間メッキとし、仕上げをマイクロクラッククロムめっきとすること等で、腐食電流を分散させる工夫がなされており、高耐食性が保証されている。

(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)

三価クロムメッキ

三価クロムメッキ

 従来のクロムめっきに替わるクロムめっきとして注目を浴びている。
めっき俗に有害な6価クロムを含有しない硫酸浴あるいは塩化浴を利用し、クロムめっきよりも深みのある色調を実現できる。白色系と黒色系があり、黒色系ではクリアブラックと表現される透明感のある黒色皮膜が得られる。近年、グリーン調達の拡がりに伴い、Cr6+めっき浴からのクロムめっきが敬遠されるようになり、このめっきが携帯電話やデジタルカメラのボタン類に利用されるようになってきた。
 ただ析出皮膜は多孔質であるため、6価クロム浴からのクロムめっきに比較して耐食性がやや劣ることは否めない。そのため要求度に応じて後処理で表面を不動態化する場合もある。後処理に電解クロメートを施すと、従来のクロムめっきと同等の耐食性を付与できるが、皮膜にCr6+を含有するため、適用に際しては注意を要する。

(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)

硬質クロムメッキ

硬質クロムメッキ
 多くの機械的特性をもつ代表的な工業用めっきである。クロムめっきとしては装飾用も硬質も本質的な違いはなく、使用目的が装飾以外のもので、比較的厚いめっき(JISでは5μm以上と規定)を工業用(硬質)クロムめっきと呼んでいる。とくに潤滑子由などの保油性を要求される場合は、表面が多孔質なポーラスクロムめっきが活用される。
 素地に直接、密着性の良好な分厚いめっきを均一に施すというのが、工業用(硬質)クロムめっきに要求される基本的な条件である。そのため、めっき操作は他のめっきとかなり趣きを異にし、めっき前後の工数を多く煩わすものとなる。

●皮膜特性
(1) 高硬度
   通常の電気めっきの中では最も高硬度で、熱処理鋼、窒化鋼などよりは遥かに硬度が高い。
(2) 耐摩耗性
   クロムめっきに要求される最も重要な基本的性質であり、極めて良好である。
(3) 耐熱性
   加熱によって、皮膜中に吸蔵されている水素の放出が起こり、硬度が低下する。300℃以上に達すると、硬度は急激に低下し、耐摩耗性も低下する。従ってクロムめっきの水素の除去には、180〜200℃で1〜4時間ベーキング処理することが大切である。

●利用分野の一例と利用日的
分野
適用部品
利用目的
自動車
クランクシャフト、同シャフトジャーナル、
カム、シリンダーライナー、
カムシャフトジャーナル、
各種シャフト、ピストンリング、
ピストンロッド、軸受
耐摩耗性
潤滑性
多孔性
硬度
航空機
船 舶
クランクシャフト、クランクシャフトジャーナル、
シリンダー、バルブ、ピストンリング、
ピストンロツド、ピン、スライドチューブ、
補助軸
耐摩耗性
肉感り再生
多孔性
潤骨性
産業機械

織物・化学・食品・製薬・印刷などの乾燥用シリンダー、
各種シリンダー、各種ロール、スクリーンプレート、
スピンドル、マンドレール、スリープ、ピストンロッド、
水圧ドラム、バルブ、コンプレッサークランク

耐摩耗性
耐食性
多孔性
硬度
潤滑性
非粘着性
汚染防止
検査工具
切削工具
ヤスリ、フライス、ブランクゲージ、マイクロメ一夕、
リングゲージ、各種ゲージ、リーマー、ツイストドリル、
タップ、各種ドリル

非粘着性
硬度
耐摩耗性
肉盛り再生
切削性

金型
ガラス用金型、プラスチック用金型、各種金型

非粘着性
耐摩耗性
肉盛り再生

化学工業
各種塔槽、ポンプシャフト、インベラ、バルブ 耐食性
耐摩耗性


●発注の際の留意点

1.素材に関する留意点
硬質クロムメッキ
(1) めっきの容易な素材
炭素鋼(低炭素鋼は最良)、クロム鋼、ニッケル鋼、ニッケル・クロム鋼、普通鋳鉄、ニッケル、銅・銅合金、亜鉛合金。
(2) 特殊な前処理を必要とする素材
ステンレス鋼、タングステン鋼、肌焼鋼、窒化鋼、アルミニウム合金。
(3) めっき不適当な素材
タングステンやマンガンを多量に含有する鋼類。
(4) 素材の硬さについて
クロムめっきによって水素脆性が生じることは知られているが、一般に硬い素材ほどその影響は大となる。従って、素材を単純に硬くすることは避けるべきである。クロムめっきを施す場合は、通常用いられている最適硬さより、ロックウェル硬度(HRc)で3〜4低くし、60くらいを限度とする。
めっき後のベーキング処理は素材の硬度がHRc40以上の場合に行なわれることが望ましい。

2.製品設計上の留意点
(1) めっき治具取り付け部
工業用(硬質)クロムめっきではめっきを行なう面積に対して、治具の容量が大きく、しかも被めっき物にきっちりと庄着する必要があるため、被めっき物にはネジ切りされた軸部、穴部を有することが望ましい。
(2) 角部及び隅部
クロムめっきは均一電着性に劣るため、鋭い角部にはめっきが厚く付き、隅部には付きにくいものである。角部にRを付けられるものはできれば逃げのあることが望ましい。
(3) 寸法精度
(イ) 寸法精度をとくに必要としない場合、ある程度寸法にゆとりをもって設計し、めっき後そのまま使用する。
(ロ) めっき後、研磨仕上げが困難なものについては、めっきしろを考慮に入れて設計する。
(ハ) 特に精度を必要とするものについては、研磨しろを考慮に入れて設計し、めっき後に研磨する。
(ニ) 寸法精度も必要だが、コストを下げたいという場合、研磨しろを見込まず、許容誤差範囲内にめっきする。
(4) 熱処理
熱処理された鋼は肉眼では見えない割れ目を有する場合があり、母材によってはめっき後にクラックを生じて使用に供さなくなる。熱処理は均質に施し、素地組織に変更のないものが望ましい。
(5) 素材の仕上げや粗度
(イ) クロムめっき液は強酸の上、酸化力が極めて大きいから、めっき有効面以外の部分の最終仕上げはめっき後に行なう方が望ましい。特に亜鉛合金、銅・銅合金、鋳物などではその配慮が必要である。
(ロ) クロムめっきには素地の租さを平滑にする作用がないため、一般にめっき後、得たい平面租さは事前に素材に付与しておきたい。
(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)

鉛フリーはんだメッキ

 錫・銀・銅や錫・ビスマスなどの合金によるメッキ。環境負荷の大きい鉛を含有しないメッキ。

鉛フリーはんだメッキの特性
 
Su-Cu
組成(X-%) 0.7〜4.0
はんだ付け性※
はんだ付け強度
ウィスカー
熱疲労特性
マイグレーション
対環境性
※注)大気中、150℃、2H加熱、Su-Cu-Agはんだ、250℃フラックス使用

(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)

金メッキ

 金めっきは産出量の少ない金を最大限有効に活用する方法として、古代より馬具、刀剣、仏像、仏具、装身具に活用されてきた。現代においても装身具、照明器具、眼鏡フレーム、時計、袋物金具、食器、仏具などに不可欠の術として広く利用されている。 
 電気めっきでは24K金めっき(純度98%以上)から14Kの金合金めっきに至るまで、幅広い合金比率の金めっきが実用に供されている。装飾金めっきでは一般的に、酸性浴かアルカリ浴のめっき浴が利用されており、析出皮膜の硬度はHvl00〜250程度のものが殆どである。しかし時計側などのように使用日的によっては高硬度が要求されるような場合、銅を含む中性浴からの硬質金めっき(約18K)が使われる。この皮膜の硬度はHv200〜300であるが、300℃で熱処理するとHv400〜450もの硬さを示す。JIS規格では、厚さ1μm以上の金めっきについては等級を規定しているが、コスト上の制約もあって装飾めっきでは多くの場合、金の色調を付与することが主目的であって、14K金の色付けめっき(0.1μm未満)を行い、クリア塗装〜焼付け(またはUV)硬化がなされている。
工業用としての金めっきは電子・半導体部品を中心に極めて重要な役割を果たしている。電気めっきと無電解めっきが利用されている。
 工業用金めっきではほとんどの場合、他の金属を若干含有した合金めっきの形で利用されている。純度99.7%以上の純金めっきが使われる例も、ICヘッダーやステム、リードフレームなど少なくはないが、大半がある程度の硬度や耐摩耗性を要求される用途に供されるため、ニッケルやインジウム、コバルトなどを0.1〜8%程度共析させた硬質金めっきの形で使われている。
 純金めっきに比較して、ニッケルやコバルトを硬さ増加剤に利用した硬質金めっきは、硬度が約2倍、耐摩耗性が約3倍に向上するといわれている。
 接点や端子などの電子部品では、現在ほとんどのものに膜厚2μm以下の2種金めっき(硬質)が用いられており、最近の傾向として1μm、0.5μmとますます薄い仕様が増加している。ハンダ付け目的ではさらに薄い0.02〜0.03μmという超薄付け金めっきも行なわれている。
 また外観に関しては一般に、限度見本で行なわれることが多い。

●金めっきの工業用利用と使用日的
利用分野 適用部品 使用目的
電子・半草体
弱電
各種接点、端子、コネクタ、ピン、
ロ一夕リースイッチ、リードスイッチ、
リードフレーム、ICヘッダー、
トランジスタシステム、その他電子部品
電気伝導性
低接触抵抗
耐食性
ハンダ付け性
耐摩耗性(摺動接点の場合)
マイクロ波回線
導波管 平滑性
高周波特性
複写機
反射鏡 光反射性

(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)
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